支部活動の現状について
百年に一度と言われる地球規模の感染症、新型コロナによってあらゆる社会活動が制約を受けるなか、当会においても月例会の連続開催が困難となりまことに残念な状況が続いております。
今般、百号を前に停滞を余儀なくされていた会報「津どい」による新企画が役員相談打合せの結果立案実行されることになりました。今の時勢に対応したネットを活用した利便性が期待されるとともにコロナ終息ののち、例会に集い、名刀を手にとって重みを感じ、光線を選んで鑑賞、研究を行う本来の姿に一日も早く立ち戻り、武家文化の正しい継承の続けられることを願うものです。
アメリカの優れた文化人類学者ルース・ベネディクトは太平洋戦争中軍の依頼を受けて、一度も日本の地を踏むことなく名著「菊と刀」を著しました。出版社からはいくつかの書名候補が示された中に「蓮と刀」とあったそうで彼女は「菊と刀」と変えたそうです。つまり日本人のメンタルを皇室中心の菊、形ある物の象徴を日本刀と捉えたのです。どちらも終戦後さまざまな波が寄せますが当時の異国の女性学者の明察に敬意を表したいと思います。
日本美術刀剣保存協会京都府支部支部長
吉村滋太